WATT a.k.a. ヨッテルブッテル / 夕空 (2015)
サンプルされた曲: Carolyn Franklin / As Long As You Are There (1973) (サンプル箇所は動画の0:00から)
今回はタイムリーなものを。
っていうのも同ネタの曲をたまたま知っていたからなんだけど…。
Itunesで6月17日に発売されたWATT a.k.a. ヨッテルブッテルの新曲、夕空。
トラック自体はすごくシンプルな構成なので今回はWATT a.k.a. ヨッテルブッテルのトラックに感じることを長々と話したいと思います。
何を言いたいかというと…
彼の曲、ものすごく2000年代アメリカのヒップホップって感じだよね。
もちろんいい意味で、ですよ!
2000年代のアメリカヒップホップは黒人文化ではあるんだけれど、それと同時にアメリカのナイトシーンを支えたダンスミュージックで、今でいうとこのEDMのような人種問わずみんなが熱狂するある意味その時代のPOPミュージックだったんです。
2000年代前期はネプチューンズやティンバランドプロデュースのサンプリングを使わないヒップホップがものすごく流行っていたのだけれど、2003年-2004年辺りからカニエ・ウェストの登場も重なってサンプリングヒップホップが復活、そしてそれが大ヒット。
サンプリング自体は90年代、80年代にすでにあった技術なのになぜ復活したか?
それは2000年代にトラックのループが複雑化して、そしていままでなかったようなサンプルのキャッチーさ、POPさがものすごくウケたってのが大きいと思います。
こんなこと言っちゃ少し語弊があるけど、感覚的に言うと90年代よりも暴力的じゃなくて、もっと軟派、オシャレなトラックが2000年代のサンプリングヒップホップ。
延々と続く2小節から4小節のループにラップを乗せるだけだった過去とは違い、音楽的に複雑かつメロディアス。8小節、16小節にかけてメロディーがちゃんと成立していたり、ROOTSのようなバンドミュージックとしてのヒップホップが流行ったり、そこからジャジーヒップホップの小ブームが起きたり…。
WATTのトラックはそんな2000年代のアメリカヒップホップの影響をすごく感じます。
サンプルネタのキャッチーさを大切にして、そこを崩さないようにヒップホップトラックにする。完成品はヒップホップヘッズだけじゃなく、別分野の音楽ファンにも受け入れられそう…そういう意味で非常にPOPなトラックだと思います。
他に彼の2000年代アメリカヒップホップっぽさの細かいところを言うなら
1: テンポが遅い元ネタを早回しにするテクニックが1st,2nd辺りのカニエ・ウェストを彷彿させる。
2:ネタ選びのセンス。
ってとこですかね。
現に今回の夕空も50cents率いるG UNITのメンバーLloyd Banksのセカンドアルバムに収録されてるOne Night Stand (2006)と同ネタ!
インタビュー読む限りだとやっぱその頃の洋楽をよく聞いていたようなこと書いてあるしね。Kev Brownが好き!っていうのは非常に印象良い。俺的に(何様だ。
そんなわけでWATTの音楽好きなんですよねーって話でした。